エフゲニー・ムラヴィンスキーが手兵のレニングラードフィルを指揮したチャイコフスキーの後期交響曲(第4番から6番「悲愴」まで)のレコードは数種あるが、その中でも1960年にロンドン(第4番のみ)とウィーン(第5&6番)でのDGG録音は、その中でも特に名演とされ、LPはベストセラーとなり、CD時代となっても、数回にわたりリマスタリングされ、多くの人々に聴かれ続けている。
辛口で、ものすごい統率力と集中力で楽団員をぐいぐいと引っ張るムラヴィンスキーと素晴らしい名人芸(特に金管楽器)で応えるレニングラードフィルの演奏はスリリングで何回聴いても飽きない。
さて、このLPはベストセラーとなって長期間発売されたので、同じ番号(138656・138657・138658SLPM)であっても、制作(プレス時期)時期でジャケットやレーベルのデザインが違ってくる。
今日はその話
最初期(オリジナル)盤
ジャケットデザインは、文字だけのこのこのようなもの。(1960年代初頭)
いわゆる「赤ステレオ」(ジャケト上部の「STEREO」の部分が赤く塗りつぶされている)のもので、レーベルは、チューリップの周りの「著作権」に関する注意がドイツ語である。
この盤は入手が非常に難しく、かなり高価となってしまう。
次の世代のものは、女性が描かれたもの。(ここでも、「赤ステレオ」・1960年代中盤)
レーベルも先と同じもの(文章の始めが、「ALLE」で始まっているので、「アーレ」盤と呼ばれている。
最後の世代は、先ほどと同じ女性が描かれたものであるが、「赤ステレオ」ではない。(1960年代終わり)
レーベルは、先ほどの「ALLE」より後の世代の著作権の注意が英語となったもの。
さて、その違いであるが、良く聴き比べてみると、「ALLE」盤の方がその後の「MADE IN」の盤よりも音質がシャープで彫りが深く感じられる。
入手の難度は、あとの世代になればなるほど易しくなってくる。(お求めやすい価格になってくる。)
もちろん、マニアであれば全部そろえたくなってくる。
それだけこの演奏は魅力的だ。
当店でも、在庫は非常に流動的で今現在はそれらの一部しかない。(全部揃うことはまずない。)
ムラヴィンスキーのチャイコフスキーの交響曲についてはまだ各種のヴァージョンがあるが、それはまた別の機会に。
当店のムラヴィンスキーのチャイコフスキーの在庫(ここで触れたものを中心に)はこちらから。