モノラルLPの世界にようこそ

モノラルLPの世界にようこそ

始めに
1950年代の後半からステレオ録音が始まり、いよいよステレオレコードが世に出るようになる。
それから約10年間は、ほとんどの場合この「ステレオ盤」と同内容(同じ演奏)の「モノラル盤」  が同時発売される。
私も、コレクターを始めたころは、この「モノラル盤」は「ステレオ盤」の代用品と考えていたが、いろいろと調べているうちに、意外な事実を知ることになり、改めてじっくりと聴いてみると、ステレオには無い魅力を発見でき、改めてオーディオの面白さを垣間見ることができた。
今日はそのはなし。


DECCA LXT5493
アンセルメの「くるみ割り人形」
(ステレオ盤はSXL2092)

1 モノラル盤とは
ここでいう「モノラル盤」は、ステレオ録音が始まるモノラル盤のことではなく、ステレオ録音されたLPと同時に発売された同じ録音のモノラルカッティング盤のこと。
この頃はまだまだ(特に欧米では)ステレオ装置はまだまだ普及はしていなくて、モノラル盤の需要がまだまだあったためと考えられる。

これらモノラル盤は、現在ではほとんど場合、ステレオカッティング盤より市場価格はかなりお安い。ステレオの半分以下だ。

さて、このモノラル盤、試聴してみるとけっこう「濃い」音がする。
ステレオの「拡がり感」はないが(あたりまえ!)、中央に凝縮された音像は実に魅力的だ。
実は、この音像がほしくてステレオ盤をアンプ側で「モノラル」モードにしても残念ながらこの濃厚な音は得られない。
ちょっと不思議な話である。

2 謎がとけた
先日、DECCAレコードの録音データをじっくりと見た。(CDの解説)
そこをみてびっくり。
ステレオ録音初期のLPのデータには、多くのステレオとモノラル別々のプロデューサーとエンジニアの名前が記されているのではないか!
ということは、ステレオ・モノラル両方のマスターが作られいたことのになる。
モノラルは単にステレオ録音のソースを合成したものではなかったのだ。


すっきりとした。

ということは、ステレオとモノラルヴァージョンのマスターがあり、そのおのおのに魅力があるということなのである。

3 モノラル再生について
モノラルレコードを再生するときの注意を

モノラルカートリッジを使うこと
この一点である。
モノラルレコードをモノラルカートリッジ再生したときだけ、モノラル盤の魅力が発揮できるのだ。
モノラルのLPをステレオカートリッジで再生してアンプ側でモノラルにしても聴けなくはないが、残念ながら「濃い音像」ほとんど味わうことが出来ないのだ。

やはり道具は、その正しい使い方をしなくてはいけないということ。

続く